元板前文系が1年勉強して統計検定を受けた話③ 統計検定1級を受験した時の話
この記事は文系板前が統計検定1級に落ちた話である。
統計検定1級は、統計学の専門的な知識を問う日本で最上級の資格試験です。この試験には「数理統計」と「応用統計」の2つの科目があり、文系出身の私にとっては学習範囲の広さと難易度の高さが大きな挑戦でした。まずは、各科目の概要について簡単にご紹介します。
少し遅くなりましたが昨年末に最終結果が郵送で返ってきましたので結果の共有です。
統計検定1級とは?
数理統計
- 学習範囲:
確率論や統計理論を中心に、以下のようなテーマが出題されます。- 確率分布(正規分布、二項分布、ポアソン分布など)
- 推定(点推定、区間推定、一様分散不変推定量など)
- 検定(最強力検定、尤度比検定など)
- 回帰分析、分散分析
- ベイズ統計
- 必要な数学:
大学レベルの微分積分、線形代数、確率論が必須。特に微分・積分を駆使して統計モデルを理解・解析する能力が求められます。 - 難易度:
高度な数学的理解が必要で、理系出身者でも苦戦するレベルです。
応用統計(人文科学)
- 学習範囲:
統計を実際のデータ分析に活用するための知識が問われます。- サンプリング調査
- 多変量解析(主成分分析、因子分析、判別分析など)
- 回帰分析
- 仮説検定
- 必要な数学:
数学のハードルは数理統計より低いですが、統計手法の応用能力やデータ解析の知識が求められます。 - 難易度:
実践的な知識が中心ですが、幅広いテーマに対応する必要があり、文系の受験者にとっては容易ではありません。
結果
数理統計
- 結果:不合格
- 順位:40%以下
応用統計(人文科学)
- 結果:不合格
- 順位:20%以上
不合格の場合、順位に応じたカテゴリ(~20%、20%~40%、40%~など)が通知されます。しかし、具体的な得点や間違えた箇所についての情報は公開されず、結果についての問い合わせも受け付けないとのことでした。
受験科目と出来栄え
数理統計
- 選択問題:1、3、5を選択
- 出来栄え:試験後に過去問を見直しても、正直よくわからない部分が多かったです。
応用統計(人文科学)
- 選択問題:1、2、5を選択
- 出来栄え:
- 問題1、2は8割程度できた自信がありました。
- 残りは3、4、5の中から選びましたが、どれも手が付けられず、あと一歩及ばなかった印象です。
学習期間
2024年5月から試験当日(11月)までの約6か月間学習しました。
学習方法
利用した講座:すうがくぶんか
- 人文科学対策講座
- 講座時間:全8回(各3時間)
- 費用:約8万円
- 数理統計対策講座
- 講座時間:全10回(各2時間)
- 費用:約12万円
こちらの講座は公式のyoutube動画もありますのでご参照ください。
質問はリアルタイムはその場で、アーカイブ視聴の場合はslackで受け付けております。
不合格の原因
- 時間不足
講座は一括購入も可能でしたが、費用を節約しようと毎月分割で購入しました。その結果、全講座が終わったのが2024年9月で、復習や演習問題に費やせる時間が限られてしまいました。 - 演習不足
すうがくぶんかの講座にも演習問題はありますが、量としては最低限です。
合格を目指すためには、別途演習問題を解く必要があると感じました。
おススメは下記2つの書籍です。・『データ解析のための数理統計入門』(通称「青本」)
・『現代数理統計学の基礎』(通称「白本」)
おススメの順番としては青本⇒白本です。
1級の演習問題は探しても少ないので用意いただいた著者には感謝です。
1級を受けた感想
次回の受験について
2回目の受験は、大学院修士前期が終わってから考えます。2025年4月までに試験があれば受験したいのですが、現状では年1回、11月にしか実施されていません。
受験してよかったこと
統計量、クラメールラオの下限、一様分散不変推定量、最強力検定など、これまで知らなかった分野を学ぶことができました。不合格(しかも最低評価)ではありますが、基本的な内容は理解できたと自負しています。
実務との関係
正直なところ、1級の内容は実務で直接役立つ部分が少ないと感じました(深いところではつながっているかもしれませんが、理解が浅いため活かしきれませんでした)。その点、準1級のほうが実務に直結している印象を受けます。
まとめ
統計検定1級はハードルが高い試験であり、不合格という結果には悔しさもあります。ただ、学びの過程で得た知識や視点は貴重であり、今後の学びや仕事に活かせるものだと感じています。次回の受験に向けて、今回の反省点を踏まえ、演習時間をしっかり確保したいと思います。
文系板前、次こそは合格を目指します!
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